冬の海は温かい。
なんでだろうと思いつつ、
夏は暑いから冷たい水に飛び込みたくなる。がつがつした欲求だ。慌ただしい欲求だ。
冬だって寒いから温かいところに行きたくなる。それも切実な欲求で、急いでいることに変わりはないのだが、
寒気に優しい太陽の光、微熱が心に温かい。ゆったりとした波と、一瞬遅れた波の音が焦燥をかき消す。
遠い細かな光が静寂を思い出し、まばらな人影に小さな笑い声がこぼれる。
白い光は途切れなく砂の上に注ぎ、まるでいつまでも途切れないかのようだ。1枚の消えた写真の残像のように、白熱灯の遠い熱のように、白い光は途切れなく砂の上に注ぎ。白い光はどこまでも白く、青い空はどこまでも青い。